2024年度上場企業の平均年間給与が過去20年で最高に
帝国データバンクが発表した「上場企業の『平均年間給与』動向調査」の結果によると、2024年度の上場企業の平均年間給与が671万1,000円に達し、前年2023年度の651万4,000円から19万7,000円(3.0%)の増加を見せています。この結果は、過去20年間で最も高い水準となりました。
調査概要と対象企業
この調査は2024年度決算期を迎えた日本の上場企業の中で、有価証券報告書に「平均年間給与」「従業員平均年齢」「勤続年数」の情報を記載している企業を対象に実施されました。上場企業は約3,800社にのぼります。
給与の増加が続く理由
2024年度決算期において、平均年間給与が増加した上場企業は全体の75.0%を占め、これは過去5年間で最高の割合です。また、増加率が2.5%以上5%未満である企業が23.7%を占めており、これは大きな進展を示しています。」
業界別の平均給与分析
業界別に見ると、製造業では平均681万2,000円(前年比+3.1%)、非製造業では平均665万1,000円(前年比+3.0%)と、どちらの業種でも過去20年で最高の増加額を記録しました。特に、海運業の平均年間給与は1,052万3,000円で、全業界で唯一1,000万円を超えています。
- 製造業: 平均681万2,000円
- 非製造業: 平均665万1,000円
- 海運業: 平均1,052万3,000円
- 陸運業の増加率: 13.7%増の645万円
市場別平均年間給与の推移
上場市場別に見ると、平均年間給与が最も高いのは東証プライム上場企業で763万3,000円、次いで東証グロースが629万円、全市場(東証・名証・福証)で500万円を超える結果となっています。特に愛知県の名古屋証券取引所は前年から5.0%増の29万円増となり、福岡証券取引所は1.2%増の6.3万円増で、全市場での増減が見られました。
企業賃上げの背景
厚生労働省による調査に基づく2024年の平均賃上げ率は妥結額ベースで5.33%と報告されており、この水準を上回る上場企業が4社に1社となっています。人手不足による処遇改善を目的とした賃上げ機運が高まっていることが背景にあり、これによって上場企業の平均給与が上昇する傾向が顕著になっています。
まとめ及び今後の展望
2024年度の平均年間給与の増加は、経済全体における人手不足が影響を与えていると共に、企業の競争力を高めるための賃上げが進んでいることを示しています。このトレンドが今後どのように推移していくのか、注目されるところです。
今後も業界や市場による給与の違いや、賃上げの動向を注視する必要があります。上場企業は従業員に対して魅力的な給与を提供することで、優秀な人材を確保し、企業の成長を支援するでしょう。