地域課題解決型ピッチイベント「UPDATE179」が北海道で開催
広大な大地に広がる北海道には、179の市町村があり、さまざまな地域課題を抱えています。これらの課題に立ち向かうべく、デジタル技術を利用した解決策を模索するイベント「UPDATE179」が、2023年8月1日に札幌のエア・ウォーターの森にて開催されました。
多彩な分野から18社が登壇
「UPDATE179」は、道内外からの企業18社が参加し、交通、防災、福祉、観光、農業、林業、水産業などの多様な分野における課題解決を目指すソリューションをピッチ形式で紹介しました。たとえば、交通分野では、「公共交通の課題解決に向けた人流・車流データの活用」を提案するMONET Technologiesが登壇。防災分野では、AI解析を用いた避難者マネジメントシステムを紹介するバカンが登場し、福祉分野では、電カデータと生成AIを組み合わせた独居高齢者支援の仕組みを提供するMBTリンクがそこに加わりました。
支援機関との連携と投票システム
このイベントには、総務省 北海道総合通信局や国土交通省 北海道開発局などの支援機関も参加し、地域課題解決に向けた施策や支援制度を紹介しました。「UPDATE179」の特色は、会場およびオンラインで参加する道内の市町村職員や地域のプレイヤーが、投票システムを通じてリアルタイムに「興味あり」や「興味なし」のリアクションができることです。このリアルタイムの反応により、需要の高いソリューションを特定し、道庁および事務局が参加企業とのマッチングをサポートします。
マッチングスペースの設置で現場とのつながりを強化
さらに、会場には登壇者と参加者が交流できる「マッチングスペース」を設け、参加者がピッチ内容を詳細に聞く機会を提供。このネットワーキングの場では、興味を持った参加者が、直接企業と相談をすることでより具体的なマッチングが期待されます。この取り組みは、事務局のサポートメンバーが間に入ることで円滑なコミュニケーションとマッチングの促進を図っています。
地域のニーズに応える最新技術の紹介
北海道経済部のAI・DX推進局DX推進課である土田直樹氏は、「地域には多様な課題が存在するが、実際の現場での解決策を見つけることは容易ではない」と述べ、「UPDATE179」は地域の課題を解決するために、企業からの技術やアイデアを具体的なヒントとして届ける場であると強調しました。
参加者からの期待と実績の強化
昨年に続いて2回目の開催となる「UPDATE179」では、特に交通、防災、福祉関連の企業の登壇を増加させ、地域のニーズにより応える内容を意識しています。土田氏は、「昨年度の参加者からは新たな関係性の構築や実証につながったという声をいただいており、今年はさらに強化を図った」と語ります。
オール北海道体制での支援と今後の展望
また、今回の「UPDATE179」は、地域支援機関を巻き込んでの開催であり、地域課題解決に向けた「オール北海道体制」でこのイベントが実施されている点が大きな特徴です。事務局として「UPDATE179」をサポートするNTT-MEの高橋裕太氏も、登壇企業の多岐にわたることがマッチングの円滑化につながると期待を寄せています。
デジタル技術による地域課題解決の促進
土田氏は、今後も地域課題とデジタル技術の接点を広げ、道庁としてスムーズな支援体制を築いていくことを目指しています。また、参加する市町村が「どのように企業と話をすれば良いか」を学ぶことでデジタルリテラシーを高め、最終的には自立的に地域課題を解決できるようになることを期待しています。
今回の「UPDATE179」は単発のイベントではなく、道庁は年間を通じて地域課題に対するマッチング支援を行っており、この取り組みを通じて地域の活性化や各市町村の盛り上がりに貢献する意向を示しています。土田氏と高橋氏は、デジタル化によって地域課題を解決する力を高めてほしいと力を込め、今後も継続的なマッチング支援を行い続けることを約束しました。