教員の勤務実態に関する調査結果を発表
小学館が最近発表した「教員の勤務実態」に関する調査は、教育界の現状を浮き彫りにしています。この調査は2023年5月20日から6月30日にかけて行われ、教員や教育委員会の関係者5,412名が参加しました。そのうち、5,181名が現役の教員です。
長時間勤務が一般的
調査の結果、出勤してから退勤するまでの勤務時間について、実に**80%以上の教員が10時間以上**働いていることが判明しました。その中で、約4人に1人が12時間を超える勤務をしており、平均勤務時間は11.17時間、中央値は11時間となっています。
休憩時間の実態
さらに、1日に取得できる休憩時間についての質問では、**65.6%の教員が「ほとんどとれない」と回答**。これに加えて「15分未満」という回答が19.2%を占めており、合計で85%近くの教員が十分な休憩を取ることができていないことが明らかになりました。労働基準法が定める休憩時間(45分以上)を確保できているのはわずか**1.5%**です。
教員が休憩を取れない理由
具体的にどのような理由で休憩が取得できないのかを尋ねたところ、子どもを見守る必要があるため休憩時間を取れない、隙間時間にも他の業務があるため休憩が難しい、また、教員が自由に使える時間が限られていることが挙げられました。休憩を取れないことで「トイレに行けない」という声も多く、膀胱炎を繰り返している教員もいるとのことです。これは、教員の精神的および身体的健康に深刻な影響を及ぼす事態です。
時間外勤務の実態
次に、時間外勤務に関する質問に移ります。「持ち帰り残業」については、約4割の教員が「ほとんど毎日」行っており、半数以上が「週3日以上」と解答しています。また、休日に仕事をしている教員は約**90%**に及び、持ち帰り残業や休日勤務を「ほとんどない」と答えたのは401人のみでした。つまり、少なくとも9割以上の教員が、月に1度は持ち帰り残業か休日勤務のいずれか、または両方を行っていることが確認されました。
時間外勤務の主な要因
時間外勤務が発生する主な要因を尋ねた結果、**8割以上が「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」**と答えました。続いて「授業準備や記録は平日の日中に集中して取り組めないため」が次に多く、その他にも「会議や打ち合わせが放課後にずれ込むため」や「児童・保護者対応が放課後にずれ込むため」が上位に挙げられました。全体の89.4%が複数の要因を選んでおり、この問題の解決の難しさが浮き彫りになりました。
教員の辛さと喜び
勤務時間の長さ以外で「つらい」と感じることについては、「保護者から理不尽なクレームを受けている時」が約4割と最も多くの教員が同意しました。それとは対照的に、「子どもの成長」を感じる瞬間が「教員としてのやりがい」に直結しており、強い喜びを感じる場面にもなっています。
外部人材による学校支援に対する満足度
最後に、国や自治体が導入している「外部人材による学校支援」に対する満足度についての質問では、約38%が「とても満足」または「ある程度満足」と回答しましたが、依然として不満の声も多く聞かれました。不満の理由として最も多かったのは「人手が足りない」という指摘で、次に「質のばらつき」が挙げられました。
この調査結果からは、教員が抱える深刻な労働環境の実態が明らかになっており、今後の改善が求められています。