AI時代の上司と部下の本音調査結果とその影響
2023年9月16日、mentoは「AI時代の上司と部下の本音調査」の結果を発表しました。この調査は、828名の企業勤めの社員(一般社員416名、中間管理職416名)を対象に、2025年9月1日から9月3日の間に実施されました。調査の結果、上司と部下のコミュニケーションにおける心理的負担や、本音を引き出すことの難しさが浮き彫りとなっています。
1on1面談に対する上司の心理的負担
調査の中で、上司に「部下との1on1や面談に心理的負担を感じることがありますか?」という質問を投げかけました。その回答の結果、「負担を感じることがある」と答えたのは29.8%、また「負担を少し感じることがある」と回答したのは35.6%であり、全体の65.4%の上司が1on1に対して心理的負担を感じていることが分かりました。この負担の理由として、主に以下の項目が挙げられています。
- 部下に気を遣っているから:62.5%
- 本音を引き出すことが難しいから:44.1%
- フィードバックが難しいから:43.0%
上司が感じる本音の引き出しの難しさ
さらに、「1on1や面談で部下の本音を引き出すことに難しさを感じますか?」という質問にも、多くの上司が難しさを訴えました。「とても感じる」と答えたのは26.4%、「少し感じる」は45.9%であり、合計で72.3%の上司が本音を引き出す難しさを感じていることが判明しました。
その理由として、以下の要因が挙げられています。
- 1on1で話せる時間が短い:48.5%
- 声をかける適切なタイミングを見極めづらい:45.2%
- 多拠点や直行直帰など物理的に会う頻度が少ない:38.2%
部下が感ずる本音を話せない状況
部下に対する調査でも、1on1や面談で「上司に本音を話せていない」と感じている人は82.2%に達しました。「本音を話せていないと感じる」との回答は21.6%、あまり感じないは36.8%、どちらとも言えないは23.8%でした。部下たちは、この影響により「転職を考えた」との回答が多く、また「キャリアに不安を持った」ことが原因として挙げられています。
上司・部下が話したい「本音」の実態
部下にとって「上司に聞いてほしい本音」として第一に挙げられたのは「業務の不安や弱音」、次に「仕事やチームへの改善提案」であることが明らかになりました。また、上司に対する「本当は引き出したい部下の本音」も同様の結果となり、業務の不安や改善提案が共通して求められていることが分かります。これにより、上司と部下が本音を対話できない現象が浮き彫りになりました。
AIによるコミュニケーションの変化
仕事の中でAIを活用している部下に、AIに本音を言いやすいと感じるかという質問をしたところ、「とても感じる」との回答は32.6%、また「少し感じる」が52.4%であり、総じて85.0%がAIに本音を話しやすいと感じていることが分かりました。さらに、「AIからのフィードバックをどう捉えていますか?」という質問にも「受け止めやすい」(25.1%)、「少し受け止めやすい」(55.1%)と、80.2%がポジティブにAIのフィードバックを受け入れている結果となりました。
AIと上司の役割の代替可能性
部下に対して「上司が担っている機能はAIで代替できると思いますか?」と尋ねたところ、「全て代替できる」との回答はわずか7.5%でした。続いて「ほとんど代替できる」は19.2%、「一部しか代替できない」は37.0%、そして「ほぼ代替できない」は16.6%で、72.8%が上司とAIがお互いに役割を分担するという見解を示しています。
AI相談の有効性と上司の注力ポイント
上司が事前に部下の相談やケアをAIが担うことに対して有効性を感じている理由を聞いたところ、「感情を整理してから相談してくれる」ことへの期待が最も高く、70.7%の人がその見解を示しました。また、部下のマネジメントが楽になった時に上司が何に注力したいかという質問には、「目標達成のための取り組み」(57.2%)や「方針の意思決定」(38.2%)といった回答が挙げられ、業務の戦略的一環としてAI活用の可能性が示されています。