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ビジネスシーンでのウェルビーイングの重要性
現代のビジネス界では、「Well-being（ウェルビーイング）」という概念が注目を集めており、身体的・精神的・社会的に良好な状態を指しています。ただし、未だに「仕事=苦行」という根強いイメージが存在し、ウェルビーイングとの相性は今ひとつ良くないのが実情です。組織運営においてウェルビーイングを感じてもらうことは困難ですが、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとするパーソルホールディングスは、10月3日に「世界トップの知見が導く“はたらくWell-beingの時代」」というトークイベントを開催し、ウェルビーイングに関する多角的な議論を展開しました。
ウェルビーイングと株価の相関関係
イベントの前半では、ニューヨーク大学School of Global Public Healthの助教授アルデン・ライ氏をモデレーターに、ギャラップ社のジョー・デイリー氏とオックスフォード大学のヤン・エマニュエル・デ・ネーヴ氏がパネルディスカッションを行いました。デイリー氏は、ウェルビーイングの基盤となる5つの要素、すなわち「キャリア」「ソーシャル」「ファイナンシャル」「フィジカル」「コミュニティ」について説明しました。
彼は「多くの人々が長時間職場で過ごします。そのため、仕事を楽しみ、幸福感を得ることがどれほど重要かが理解されてきました」と述べ、特に「キャリア」の充実が人生の幸福度に大きな影響を与えることを強調しました。
一方で、デ・ネーヴ氏は「ウェルビーイングを重視することがビジネスにとって投資すべき価値がある」と指摘し、過去の調査結果に基づいて、ウェルビーイングの向上が従業員のパフォーマンスや離職率に影響を与えることを説明しました。また、ウェルビーイングを大切にする企業は株価や業績が向上する傾向にあると述べ、企業の状況とウェルビーイングの相関関係について言及しました。
選択肢と自己決定の重要性
イベントの後半では、公益財団法人Well-being for Planet Earthの代表理事石川善樹氏がモデレーターを務め、パーソルホールディングスの和田孝雄氏と福井県副知事の鷲頭美央氏が議論を交わしました。和田氏は、同社が掲げる「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンを実現するには「選択肢と自己決定」が重要であると述べ、「全ての人が自らの仕事を選択できる状態を作りたい」という思いを語りました。
また、グローバルな調査結果によると、「選択肢と自己決定がある」と感じる人が減少傾向にあることが示されており、和田氏はこの現象について危機感を示しました。彼は「この状況を放置すると、さらに悪化する危険がある」として、企業側の取り組みの重要性を強調しました。
福井県のウェルビーイング向上への取り組み
続いて鷲頭氏が福井県の具体的な取り組みについて語りました。福井県は「全47都道府県幸福度ランキング2024年版」で総合1位に輝き、パーソル総合研究所の調査でも「はたらく幸福」と「はたらき健康」の部門で1位を獲得するなど、ウェルビーイング優良地域として知られています。
鷲頭氏は、福井県が長時間労働の是正を推進し、働きやすい環境を整えていることを紹介しました。しかし、「働きやすさ」ばかりを重視することに対する疑問の声もあり、そのため「働きがい」という概念も行政改革プランに取り入れることにしたと説明しました。
柔軟な働き方の推進に加え、地域貢献を意識した「チャレンジ政策提案」や「チャレンジ制度」などを通じて、若手社員の働きがいを高める取り組みを実施していることも述べられました。鷲頭氏は「意欲を持てばチャンスがあるような組織を作らないと、離職が進んでしまう」と警鐘を鳴らしました。
結論：働く人の幸福を考える時代
企業と自治体がともに「働く人の幸福」を真剣に考える時代が到来しています。今後は、“やりがいや楽しさ”を見出せる働き方を提供することが、企業の競争力を左右する鍵になることでしょう。
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